アジアに棚田が有ってヨーロッパに段々畑が少ない理由

アジアの米作地帯では至る所で棚田が見られる。日本はもとより中国、フィリッピン、インドネシアなどだ。
しかし、ヨーロッパでは地中海沿岸の果樹園などを除くと段々畑はほとんど見られない。

中国の黄土高原で段々麦畑が見られることから麦作でも段々畑が不向きと言うことではなさそうだ。ただ、黄土高原は草原が芽吹くと黄砂に覆われ、これが長期間繰り返された丘陵地帯だから有機物(肥料分)をたっぷり含む土壌だ。だから段々畑作りに労力を掛けてもそれに見合った収穫が得られる。
これに対して中部ヨーロッパは1万年前まで氷河に覆われていたため有機成分が少なく、面積当たりの収穫量が少なく、段々畑を作る労力を投入できなかった。逆に河川の浸食が少なかったため広い面積のなだらかな畑が得やすかったので段々畑の必要が無かったと考えられるだろう。

これに対して、腐葉土の栄養をたっぷり含んだ谷川の水で潅水する水田は少ない肥料でコメが育ち、また輪作障害が少ないため毎年繰り返し植え付けられるので小さな水田から家族を養うに足りる収穫が得られた。だから棚田作りに労力を掛ける価値が有ったと言える。

別の見方も有る。弥生時代初期の、例えば福岡市の板付遺跡は写真で見る限り1片が10mに満たない小さな複数の水田が作られている。当時使われていた木の鍬では土を水平に均すのが難しかったためと解説されている。つまり、米作民族は“小さな田んぼ”を抵抗感なく受け入れる背景も有ったのだろう。

最近は農家の高齢化や人手不足で棚田や谷津田の耕作放棄地が増え、里山の景観が損なわれるだけでなく生態系への影響が心配だ。小面積水田の耕作を助けるロボットが出来ないものだろうか。

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