日本の労働生産性が低いのは悪いのだろうか

最近、労働規制改革法案審議の過程で安倍総理が「労働生産性」の向上を提案理由の一つに挙げていた。確かに、日本の労働生産性はそれほど高くない。日本生産性本部のサイトに国際比較のデータが示されている。まずG7諸国の2016年実績比較してみよう。

             米    独   カナダ  英     日    仏    伊
  ドル換算額   57591 48989  44025 42651 41534   41490  38328
  日本比      1.39   1.18   1.06  1.03  1.00     1.00   0.95

日本は7か国中5位だがフランスとは僅差でしかない。それ以上にルクセンブルグ 103352(日本比2.44倍)、アイルランド72771(1.75倍)ノルウェー59350(1.43倍)、オランダ51285(1.23倍)など豊かな小国が多数ある。

しかし、数字だけでなくその意味も考える必要が有る。労働生産性の定義は(生み出した収益)÷(労働時間)だから労働時間の短縮だけでなく収益の増加も有効だ。

日本人は「大儲け」に抵抗感を持つ感性が生産性の数値を下げていないだろうか。例えば日本人の感覚からすればマイクロソフト、アップル、グーグルやアマゾンのやり方は強欲と感じられる面が有り受け入れ難い。
また、東日本大震災直後広範囲で水道が停止したとき飲料水を求める客がスーパーマーケットやコンビニエンスストアに殺到した。このとき商店は一人当たりの販売数量を制限して出来るだけ多くの顧客が入手できるようにした。他の国ではチャンスとばかりに価格を上乗せして販売し、収益を増やすだろう。こちらの方が労働生産性は高くなる。日本では製造業も製造単価を下げる技術開発に力を入れ、高く売れる製品開発への投資は多くないような気がする。

過重労働防止の点から数か月単位で労働生産性を考えがちだが生涯単位で考えても良いのではないだろうか。パイロット社の消せるボールペンは開発に数十年かけたそうだが全世界で累計百億円以上の売り上げが有ったそうで開発担当者は非常に高い生涯労働生産性を達成したはずだ。

逆の例もある。東京電力の福島原子力発電所の事故だ。地震学者による巨大津波の可能性の指摘に応じて、対策を検討させたが二千億円程度の費用が掛かる計画案一つだけだったため社長が却下したとの噂が有る。事故後、社内チームが現地調査し非常用発電機と重油タンクを丘の上に移動させておけばはるかに少ない予算で事故を防止できたはずとの結論を出した。誤判断を積み重ね数兆円規模の損失を出した人たちの生涯労働生産性は巨大なマイナスだ。

いずれにせよ欧米的なセンスの労働生産性の数値に振り回され無い様に注意すべきと考える。

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