SDGsを考える (その9) 資源枯渇問題

SDGsの目標No.12は「作る責任使う責任」でターゲット12.2は「2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する」である。
21世紀中に枯渇が懸念される資源が多種あるので資源を効果的に使用してSustainability(持続性)を伸ばそうという意図だ。しかし、代替物質の有りなしで枯渇の影響は全く異なるのは当然だ。例えば石油、天然ガスや石炭などの化石燃料は太陽光や風力などでを補える。また、高価なものは廃品を回収しリサイクルされる率が高くなる。少数の資源国に偏る資源は使用量が微小でも完成品の性能を左右するものは需要の増減で価格が大きく変動する。ネオジム鉄ボロン磁石の温度特性を改善するディスプロシウム(Dy)は中国の輸出規制で価格が急激に高騰し、NEDOを中心にDyフリー磁石が開発された。このように微量でも性能を左右する元素が種々あるので製品分野ごとに考えなければならないことが多い。この様な特定の元素から離れて一般的に、しかも多量に使用される資源に限って話を進める。
石油や石炭は数億年前の石炭紀と呼ばれる、腐敗菌が出現する以前の時代にプランクトンや魚類の死骸、木材の倒木や枝葉が腐敗せずに地中に埋蔵されてできた資源だ。だから腐敗菌が進化した現在は新規な資源は生まれない。石油と天然ガスの採掘可能年数は2017年時点推定で50年、石炭は132年程度、シェールオイル、シェールガスは200年程度と言われている。曾孫(ひまご)の時代までは持つかもしないがその先は保証の限りではない。電気自動車の普及でCO2排出0と浮かれる人がいるが化石燃料発電の比率だけのCO2が排出される。東京電力の場合は1kWhの電力を使うと火力発電所で0.4~0.5kgのCO2が発生する。計算していないがハイブリッド車と大差ないかもしれない。一方、テキサス州では大寒波で風車の凍結・故障が報道されていたが太陽光パネルも積雪で発電量が大幅に減ったはずだ。
災害時もCO2を出さずに安定に電力を供給できるシステムはあるのか? 原子力発電は事故対策設備増強による建設費の高騰が発電コストに影響するので建設計画が軒並み中断された。CO2フリーで放射性廃棄物をほとんど出さない核融合発電は可能だろうか。1970年ころ米国の電気・電子学会(IEEE)の技術予測では「39~40年後の実用化」とされていたが2010年代後半の見通しも「39~40年後の実用化」とされている(40年間進歩していない?)。 燃料以外にも枯渇が迫っている天然資源への配慮が必要だ。銅は電気自動車向けに需要が拡大するだろうがリサイクル率を高めてしのげるかも知れない。ダイアモンドや金資源も枯渇が懸念されている。切断機などに使われる工業用ダイアモンドは大部分が人工ダイアモンドだから産業への影響は少なく、天然ダイアに限られる宝飾用だけの問題と言えるだろう。金は電子装置のコネクタなど接点部の信頼性を大きく左右する不可避材料だ。第1次大戦後、ドイツは連合国に対する賠償金を支払うため海水からの抽出を実験したがコストが引き合わなかったそうだ。現在は金価格が高騰(20年前1800円/グラム以下だったのが現在は何と6500円)しているだけでなく吸着剤の進歩が著しいので実用化可能かもしれない。
リチウム電池の主要材料であるリチウム元素は産地が限られ、中南米の産地の多くは中国資本に買い占められている(テスラ社はアメリカ国内に十分なリチウム鉱山を確保している)。それを見越して日本の研究者たちは海水から無尽蔵に得られるナトリウムを利用したナトリウムイオン電池を開発している。中国の自己中心企業の鼻をあかすため何とか成功してほしい。
それよりも影響が大きいのは農産物の肥料に使われるリン鉱石で、可採掘寿命は50~100年とのことだ。肥料は水に薄めて使用するから回収は出来ない。枯渇したとき農業はどうなるのか恐ろしい限りだ。その頃の百億人を超える世界人口を飢えさせないために真剣に取り組むべしとウィキペディアは警告している。
資源の枯渇は他人事ではなくなりつつある。地球温暖化と同じ程度に深刻な問題ではないだろうか。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント