カーボンニュートラを実現できるか (その1)

菅総理は2050年までにCO2排出0を目標にすると宣言した。この場合の排出量0はカーボンニュートラル(カーボンオフセットとも言う)のことで、化石燃料使用で発生したCO2を安定的に固定し、大気への排出量を差し引き0にすることであるとは皆様もご承知でしょう。
勿論、自然エネルギーの比率を増やしCO2の排出量を減らすのは当然だが、製鉄やセメント生産など化石燃料が不可欠な産業が必要とされる以上、CO2の吸収、固定は不可欠だ。その主な方法は次の3つがあると言われている。
1) 燃焼ガスからCO2を分離して地中に埋設する方法:実験・研究や技術開発もされているがコストの点から広範囲の実用化は難しいといわれている。(日経エレクロトニクス2021年1月号p34~36)
2) 陸上植物の光合成によるCO2の固定:国連は陸上植物で固定される炭素をグリーンカーボンと呼んでいるが木の葉や草は短期間で腐敗するので木の幹(木材)長期間固定される。アマゾン、カリフォルニア、シベリアあるいはオーストラリアなどで大規模な山火事が相次ぎ、大量の木材が焼失したので地球トータルでマイナスになっているかもしれない。更に、人間は植物性食物に大きく依存しているから豊穣で、適切な降水がある土地は増加一途の世界人口を支える食料生産をどうしても優先せざるを得ない。降雨量が乏しい地域では薪の伐採や過密放牧による砂漠化も深刻だ。このように考えるとグリーンカーボンの先行きの発展は望めそうにない。我が国の森林面積は67%と大きいが樹木の生長と枯死する割合がほぼ同等の成熟林だから±0だ。
3) 海中の植物プランクトンや海藻の光合成によるCO2の固定:国連はこれをブルーカーボンと名付けている。ブルーカーボンは植物プランクトンに始まる食物連鎖の最終形がマリンスノウとして深海に沈降するのでCO2が確実に固定される利点がある。植物プランクトンの密度は人工衛星で観測され、インタネットで見ることができるが生育密度が桁違いに低い海域が広く分布している。低密度の海域は窒素やリンなどの栄養成分少ない所と栄養成分は十分でも鉄分が少ない海域がある。後者の典型例が南極海、赤道周辺海域やアラスカ湾だそうだ{文献[1]p12}。このような海域に鉄イオンを散布すると植物プランクトンが大幅に増加することがアメリカの海洋学者ジョン・マーチンの後継者らの実験で確かめられている{文献[1]p101~105}。しかし、海は広い(3.6憶平方キロ:ほぼ一片1万9千kmの四角)。このように広い海域に鉄イオンを散布するには巨大なコストがかかるだろう。日本の沿岸各地で試みられているようにグリーンカーボンの富化で漁獲量を増やす作戦なら漁業収入の一部を鉄イオン散布費用に回せるだろう。開発途上国沿岸にも普及させやすい。あるいは大きな海流の力で鉄イオンを流して散布の手間とコストを省くことも可能だ。鉄イオン源を多数並べたロープを、海流を横切る形で並べればイオンは面的に広がる。黒潮だと源流に近い赤道周辺海域や日本近海では沖縄諸島や奄美大島と屋久島を結ぶ線上などが可能ではないか。
グリーンカーボンとブルーカーボンの特徴を考えてみよう。どちらも光合成でブドウ糖(C6H12O6:分子量180g)を生成し、これをベースにセルロースなどを合成している。言い換えれば6分子のCO2(合計分子量264g)を原料にしてブドウ糖が合成される。ということは植物重量の1.5倍重量のCO2を吸収している。
現在、日本は12憶トン強のCO2を排出している。2050年ころには75%が再生可能エネルギーに置き換えられたとしても3億トンの排出だ。グリーンカーボンとブルーカーボンの合計で2億トン!!これを達成できればCOPの場外で日本を非難する「化石賞」などは蹴とばせる。日本の場合、ブルーカーボンだけで何とか2億トンを吸収できないか、可能性を次号で議論したい。

文献[1]: 畠山重篤「鉄で海がよみがえる」文春文庫、2012年10月10日

追記:私の専門は電気・電子で生体系に関しては全くの素人です。しかし、地球温暖化が焦眉の急となっている今日、何か貢献できないかと1つの文献とSNSデータで何とか論理を組み立ててみました。次回ではできるだけ新規アイディアを盛り込むつもりですが見当違いや無知による大間違いをするかもしないので、その時は積極的にご指摘ください。

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