宇宙船江戸号

宇宙船地球号という言葉は人類が消費量出来る地球資源が限界に近付いている、あるいは超えていることを警告している。生産可能量以上の消費は人類が地球に借金を重ねていることだ。サラ金の借金では金利分を返せるうちは何とかなるがそれを超えると一挙に借金地獄に突入する。地球に利子の返済できなくなるのは近いのか遠いのかサラ金と同じで予測がつかない。
17,18世紀のヨーロッパ人は海外の植民地で、アメリカ合衆国は西部開拓で新天地を切り開き、地域EFの問題を解消した経験を持つので「何とかなるだろう」と言う感覚がどこかに残っているような気がする。
下の図は江戸時代の人口と耕地面積の推移を示す。1600年に1600万人だった人口はわずか130年には3400万人に増加したがそれ以後は頭打ちとなり、幕末まで150年余り停滞した。耕地面積も1700年以後頭打ちとなり食糧生産量も停滞しただろう。この時代は、[「SDGsを考える(4)飢餓問題」2019年5月6日投稿]で述べたように地球規模の寒冷化による飢饉の影響も大きかっただろう。
鎖国で食料を輸入できなかった江戸時代は食糧生産の限界が人口停滞の原因と成った「宇宙船江戸号」となってしまった。
「宇宙船江戸号」で江戸人たちが生き延びるために何をしたかを振り返ると今後の宇宙船地球号に立ち向かう参考にならないだろうか。
江戸時代は例えば次の3つの面で資源を持続可能な範囲で徹底的に使い尽くす知恵を出した時代ではないか。
第1は里山の利用で、里山の草地は屋根を拭く萱や堆肥の原料として徹底的に利用した。燃料の薪や炭の原料の広葉樹はやや根本より高い箇所で伐採する「ひこばえ」活用により苗から育てると30年を要する薪炭材を10年サイクルで収穫した。ただ、安価な工業化化学肥料により100年前頃からは野草原が利用消滅した。安価な石油やプロパンガスが家庭を熱源として利用し始めた60年~70年以頃には薪炭材の利用が激減し雑木林が放置され始めた。
第2は里海の利用で、水源地域の維持に努めることで川から沿岸に流れ込むミネラル分を増やして漁獲の維持に努めた。特に沿岸の漁場近辺の雑木林は「魚付き林」として大事に維持する習慣を持つ地方が多かった。しかし、漁船にエンジンが供えられ、漁場が海岸から沖に広がり魚付き林の効果は沿岸間際での漁師と養殖業者に限られている。
第3は江戸時代は超リサイクル社会だったということ。幕末に日本を訪れた西欧人は江戸の町の清潔さに一様に驚いたそうだ。蝋燭のしずくや紙くずは再生原料として、火鉢や竃の灰はアルカリ水の原料として、糞尿は肥料として買い取られていた。これらが経済的にペイしていたことが脅威だ。現在の廃棄物収集は自治体の負担が大きく、とてもペイしているレバルではない。
環境対策は安くなければならない。ペイしないのは誰かがどこかで資源やエネルギーを消費しているからだ。しかし、江戸時代の人々が知恵を絞って宇宙船江戸号を乗り切った事実は現代人も宇宙船地球号を知恵で乗り切る勇気を与えてくれるのではないだろうか。
江戸人口推移.jpg

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